豊田鉄工株式会社様
1946年設立から日本の自動車業界を支え続けてきた自動車部品メーカー、豊田鉄工・通称"トヨテツ"。 世界的な競争に勝ち残り、さらに大きく飛躍するために、他社との差別化、優位性の確保、地球環境保全に配慮した企業活動を推進する"トヨテツ"は今、さまざまなチャレンジを推し進めている。 そのひとつが、今回の品質データ管理システムの導入だ。この新システムにより、品質管理業務を効率化しただけでなく、環境のクリーン化とペーパーレス化も実現した。効率化と環境保全を実現した、この新しいシステムとは?
効率アップと地球環境保全を目指し計測システムとファイリングシステムで強力な品質管理体制を構築
製品の品質を高レベルで維持し続けている"トヨテツ"。その製造過程において重要な役割を担っているのが、完成した製品を検査する品質管理だ。
特に溶接部分の強度の検査は重要だ。溶接部分の断面を画像化し、溶接されている部分を細かく計測して、その数値によって合格か不合格か、規格に合っているかいないかを検査する。
この検査工程に、今回は、新しいシステムを導入した
環境保全企業活動の推進をきっかけに新システムを導入
カットから計測までの作業をコンピュータ化
「以前は、その作業をすべて手作業で行っていました」とは、品質保証部の松下和範工長。 部品をカットしてその断面を専用の機械で撮影・現像し写真にする。さらに、その写真から、溶接されている部分をひとつひとつ定規で計測して数値を出していく。その作業をすべて人が手作業で行っていたというのだ。
「ちょうど3年前、環境保全活動の一環として、撮影・現像などの作業をやめることが決まった。そこで、部品の断面をCCDカメラで撮影し、コンピュータで画像処理して溶接部分の計測をするシステムを導入することになりました」。
計測だけでなくファイル管理システムも
当初は、製品の断面画像から溶接部分を計測して数値化していく「計測システム」だけを導入する予定だった。ところが、SEと打ち合わせを重ねるうちに、毎月1500件以上増えていく検査結果のデータを管理するために「ファイリングシステム」も同時に導入することになった。
1カ月に65時間以上の時間短縮に成功
導入の成果を、松下氏はこう語る。
「以前は1件あたり3~4分かかった計測作業が、今では数秒でできてしまう。1カ月に約65時間以上の時間を節約できたことになります」。
一連の計測作業にかかっていた時間が大幅に短縮されたおかげで、スタッフの残業が減り、さまざまなほかの仕事に力を入れられるようになったとも言う。
3工場をつなぎ、リアルタイムで情報を共有
また、本社と3つの工場を専用ラインでつなぎ、情報を共有できるようにしたため、社内のさまざまな部署で、検査し終わったばかりのデータを見たりデータを検索したりすることができるようになった。
さらに、導入して顕著に変化したこと。それは「書類の山が消えた」ことだ。
年間数万枚のペーパーレス環境が実現
検査1件につき断面の画像と品質検査の結果などA4の紙3枚分くらいの結果が出る。以前は、1枚1枚ファイルに閉じて管理していたが、すべてデータ化したことでプリントする必要がなくなった。1カ月数千枚の紙を使わずにすむようになった。
ただし、取引先に提出する分はまだプリントしなければならないので、残念ながら100%のペーパーレス化はまだ実現していないが「いずれはデータの提出という形になると思います。時間の問題でしょう」と松下氏。
「お客様第一」「魅力ある製品づくり」をモットーに、21世紀の「環境保全」型エクセレントカンパニーを目指す"トヨテツ"のチャレンジパワー。さて、次の一手は?その動向に注目したい。
システム運用の流れ
(1)溶接カット断面画像の計測
断面カット写真を撮影して、溶け込み・脚長などの計測を行います。
パソコンのマウスをクリックするだけの簡単な操作で行えます。
(2)計測データ流し込み
計測した溶け込みの幅などの計測データや写真は、データシートに自動的に挿入されます。
(3)合否判定
計測した溶け込みなどのデータは、規格値と比較して自動的に合否判定を行います。
合格の場合は、シート上に電子印鑑が捺印されるしくみです
(4)WEB公開/閲覧
合格した検査シートは、WEB公開し、社内の他の部署から閲覧したり集計結果を確認することができます。