画像処理
金属粒界の抽出 ~『WinROOF』【AI画像検出】~
AIを活用した画像解析-金属組織編-
ご無沙汰しております。2年目社員のKです。
2年目の半期も残すところあと1か月となりました。
暑さに負けないよう水分補給は欠かず、気合を入れて励んでいきます。
今回は弊社の画像解析ソフトウェア「WinROOF」シリーズに搭載可能な【AI検出オプション】を使い、
金属組織の計測事例をご紹介します!
金属組織の評価では、粒界を検出することが重要テーマになりますが、
色味やコントラストなどにより従来の画像解析(ルールベース)では検出が難しい画像も少なくありません。
そこで、今回は粒界をAIに検出してもらいました!
金属組織の粒界検出
今回解析に使用した画像はこちらです。
粒界が濃い部分と薄い部分がある画像を選定いたしました。
従来方式
まずは、従来方式の解析で計測をしてみました。
粒界の濃い部分は検出できていますが、薄い部分は理想通りに検出はできませんでした。
手動での修正も可能ですが、修正箇所も多く手間がかかってしまいます。
また、粒子と粒子を分割する機能も搭載してますが、思うように分割することが難しそうです...。
このような結果となる原因は、従来方式の2値化では、対象部分を明るさや色味を指定して検出を行うためで、
コントラストの薄い部分などは検出が難しいのです。
従来方式×AI
続いて、従来方式×AIの解析で計測をいたしました。
今回は大きく分けて以下のような解析手順で粒界を検出しています。
(1)AIによる粒界の検出
(2)AIで分割検出できなかった部分の分離
(3)検出箇所の形を整える
(4)ノイズを削除
(1)AIによる粒界の検出
従来方式と比較すると、薄い粒界部分も検出できている印象です。
完璧ではないものの、後処理による検出箇所の調整の可能性を感じられます...!
(2)AIで分割検出できなかった部分の分離
WinROOF標準搭載の「ウォータシェッド機能」により、くっついてしまっている部分を分離しました。
画像内の赤枠内で分離前後を比較してみると、分離レベルを調整することで実際の粒界部分と近い形で分離ができています。
分離後は、細かく分離されてしまった部分などがあるため、
(3)検出箇所の形を整える「モフォロジー機能」、(4)ノイズを削除する「削除機能」を使用していきました。
4つの処理を行ったところ、若干の取りこぼしはあるものの粒界の薄い部分も含めて検出できました!
従来方式とAIを掛け合わせることで、
これまでは難しかった色味やコントラストの弱い画像でも検出ができ、
さらに従来方式で分割や削除を行うことでより理想的な結果を得られることがわかりました。
弊社画像解析ソリューションの特徴
いかがでしたか。
AIを使用することで、従来は難しかった画像に対する解析の可能性を少しでも感じていたけたでしょうか?
ですが、実はAIにも不得意とする部分があります。
それは従来の画像解析(ルールベース)が得意とする画像の照明ムラの除去や、対象の大きさの測定です。
そこで、弊社では従来の画像解析とAIの併用によるハイブリッド型の画像解析ソリューションをご提案しております。
従来の画像解析(ルールベース)では、画像ムラの除去などの前処理や、2値化後の後処理及び計測を行い、【AI画像検出】では対象の2値化を行います。
双方の得意分野を掛け合わせて、これまでは難しかったお困りごとの解決にお力添えができるかもしれません。
「従来の画像解析では計測ができなかった。」「AIを導入したが、思ったような結果が得られない。」等のお悩みをお持ちの方は気兼ねなくご相談いただければ幸いです!
■■ハイブリッド型の画像解析ソリューションにご興味のある方はこちら■■
なお、他にもAIに関連する記事を投稿してきましたので、ご興味のある方はぜひこちらもご覧ください。
1)画像解析ソフトWinROOFシリーズ × Deep Learning!不可能を可能にする 自動画像解析ソリューションとは?
2)AIを使った水滴(液滴)の検出
ここまでご覧いただきありがとうございます。より詳しい話を聞きたい方、実際の画像で検証をしてみたい方は、下記URLよりご連絡ください!
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