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顕微鏡画像撮影における画角(FOV)の考え方と計算方法

顕微鏡画像撮影で重要な要素、画角とは

顕微鏡にデジタルカメラを取り付けて撮影する際に、画像の見た目と同様に重要な要素として"どれぐらいの範囲を映し出せるか"ということがあります。 要するに、表示する視野サイズが縦×横それぞれ何mmなのかということです。視野サイズや撮像エリア、または画角(Field of View, FOV)という言葉で扱われることが多いです。一般的なカメラでは画角では映し出す角度を意味しますが、顕微鏡撮影では角度は固定のため、撮像される範囲のサイズそのものを示す言葉としても利用されます。

FOVがどの程度か? というのは 「どの程度小さい対象を観察したいか」という要求にも関係しますし、私どもが扱っております 自動撮影システムなどを例に考えると、対象を撮影する枚数や撮影を終えるまでの時間にも関わります。 お客様のテーマに合うように決めなければならない重要な要素となります。

しかし、デジタルカメラを扱うときには「何mmの範囲が写るのか」と考えたことがある方はあまり多くないと思います。 カメラのセンサーサイズや対物レンズの倍率といった要素が関係しているのですが、私どもも顕微鏡画像撮影のお仕事をいただく中で画角まで検討されてご相談いただくことは多くありません。 ここでは、顕微鏡観察下ではどんな要素で視野サイズが決まるのか、最も基本的な考えを書いていきたいと思います。

顕微鏡画像撮影での画角の決定要素

カメラのセンサーサイズ
カメラのセンサーサイズは、撮影される画像の画角に直接影響を与える要素の一つです。 センサーサイズが大きいほどより広い範囲を捉えることができ、センサーサイズが小さいと、画角が狭くなります。
顕微鏡観察で利用されるデジタルカメラのセンサーサイズには様々なものがありますが、 ここでは私どもが利用する機会がおおい500万画素カメラからこのような例のものを扱いたいと思います。
センサーサイズ
「撮像面積」と書かれた部分がセンサーの大きさを示しています。 カメラによっては「撮像素子サイズ」「センササイズ」など使われている言葉が違うことがありますが 意味としては「縦〇〇mm 、横〇〇mmのセンサーを使っているカメラであるか」を示しています。 この例では「1画像(センサーの1マス)が 3.45μm」「横方向の解像度は2,448」なので、3.45 × 2,448 / 1000 = 8.45mm となっており、横方向が8.45mmのセンサーであることが示されています。

対物レンズの倍率
カメラのセンサー以外に画角に影響を与える、もう1つの大事な要素が対物レンズの倍率です。
対物レンズは倍率が高いほど、観察対象を詳細に捉えることができますがその分画角は狭くなります。 逆に倍率が低いと広い範囲を捉えることができますが、細部の観察が難しくなることがあります。

カメラのセンサーと対物レンズ、この2つが実際の顕微鏡でどの部分を示しているかというと下の写真のようなイメージになります。 一般的に顕微鏡の上の部分にCマウントでデジタルカメラが取り付けられていることが多いです。
顕微鏡例
目視観察では接眼レンズを通して人の目で捉える光(映像)を、直接センサーで取り込んでいる形になります。

カメラのマウントアダプター
カメラを顕微鏡に取り付ける際にはアダプターを利用します。アダプターにはレンズが入っているものもあり、 撮像サイズ、画角を調整することも可能です。倍率の例として1X、0.63X、0.5X、0.35Xといったものがあります。
デジタルカメラ付きの顕微鏡を利用される機会がある方は、よく見ていただくとアダプターに 0.5X などの数字が書いてあると思います。その場合、アダプター部分にもレンズが入っているということです。

基本的な計算方法

要素さえ分かれば画角を計算するのは非常に簡単です。
カメラのセンサーサイズ、対物レンズの倍率、そしてアダプター倍率を利用し次のように考えます。

画角(FOV) = センサーサイズ / (対物レンズの倍率×アダプター倍率)

先に説明したカメラのセンサーサイズと対物レンズ5倍、アダプター0.5Xで考えると次のように考えられます。

画角 縦 = 3.38mm  画角 横 = 2.83mm

いかがでしょうか、非常に簡単ですよね。
撮影した画像を画像処理で解析・測定するようなケースを考えると、この画角で撮影した画像が対象を測定するに十分かどうかを検討し、 もっと狭くしたり(拡大する必要がある)広くしたり(もっと低倍率でよい)といったことを考えます。もちろん、解析や測定の画像処理を考えると倍率だけでなく、レンズがどれぐらい綺麗に対象を写せるかといったことも関係してきますが、あくまでも対象を写すサイズという点はセンサーとレンズ倍率により最適な画角がきまることが重要です。

顕微鏡画像撮影で気を付けないといけないケラレ

ケラレとは
ケラレは、顕微鏡画像撮影において発生することがある現象で画像の周辺部分が暗くなる、または黒く欠ける現象を指します。この現象は、カメラのセンサーに対して十分な光が届かない、またはレンズシステムの設計が原因で光が遮られることによって発生します。ケラレが発生すると、観察対象の全体が画面に収まらないことがあり顕微鏡観察においては特に問題となります。
下のように画像の周辺が黒く隠れてしまっているよような画像を見たことがある方もいのではないでしょうか。
ケラレが起こっているときの映像の例
顕微鏡画像の撮影でケラレが発生する代表的な原因は、カメラのセンサーサイズが大きすぎる場合です。
簡単に図で表すと、下図のように顕微鏡の光路を通り光が取り込まれる範囲より、センサーの方が大きいため、センサーの周辺に光が入らない箇所ができてしまうというイメージになります。
ケラレのイメージ図 「センサーサイズだけでカメラを選んだらケラレてしまった!」というのは光学機器を扱う方のあるあるかも知れませんが(私も経験があります...)、 「センサーサイズは大きく!画角は広いほうがいい!」という分けでは無いということにご注意ください。笑

もちろん、顕微鏡ではなくカメラに直接レンズを取り付ける場合もカメラの撮像素子に対して不適合なレンズを使用した場合には、周囲が黒く隠れてしまうようなケラレた画像になってしまいます。

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