レポート
段差のある対象の撮影に最適!焦点距離可変レンズTAGLENSとは
高倍率観察で起こるピントの問題を素早く解決
以前にこちらのの記事 深度合成 - 顕微鏡観察で大事なピントの問題
でも取り上げたように「どのようにピントがあった画像を撮影するか」という課題は顕微鏡観察に常に付きまといます。
画像処理を利用した深度合成技術も1つの解決策ですが
「合成せずにそもそもライブ映像で何か解決できないか?」
「色々な箇所にピントを合わせた絵を同時にライブ観察できないのか?」
そんな風に考えることも多いです。
顕微鏡観察のピント問題をもっとシンプルに解決できるものは無いものか...
そんな便利なものは無いよなぁ......。
と思っていたのですが、「これはすごい!」というものがありました!!
株式会社ミツトヨ様 焦点距離可変レンズ TAGLENS
今回はそんな"TAGLENS"をお借りすることができたので、レポートとしてデモソフトを操作してみたイメージをお伝えしたいと思います!
1つのカメラで複数のピント位置が同時に観察可能
お借りしたデモ用のセットを社内で組み立ててみると、TAGLENSはレンズそのものでは無く、顕微鏡ユニットの一部のようです。対物レンズ、顕微鏡ユニット、TAGLENSと組み合わさり、この上にカメラを取り付けることができます。
この顕微鏡ユニットを150mm程度の大きさのコントローラと照明装置とつないで準備完了です。
早速、どんな映像が撮れるのか見てみたいと思います。今回は高さの違いが分かりやすいように、下から500円玉・10円玉・1円玉と重ねて確認してみたいと思います。
この重ねた硬貨をTAGLENSを利用しないで観察すると下の例のように、上の硬貨にに合わせれば他のものがボケてしまい、真ん中の硬貨に合わせれば上下の硬貨のピントはボケてしまっています。
さぁ、それではタグレンズのデモソフトで見てみたいと思います。
コントローラの電源を入れて、ソフトを起動したイメージがこちらです。
画面上にはライブ映像が3つ表示され、それぞれが別の箇所(高さ)にピントがあっているのが分かります!
ライブ映像は3種類表示されていますがカメラは1つです。カメラが1つなのにそれぞれ異なるライブ映像が表示されているのは、とても不思議な感じがします。
ライブ映像なので、このまま対象を動かしても当然それぞれのピント位置を保持したまま観察位置を移動することができます。
硬貨が重なっている位置を少しずつズラしてみるとこのようになります。
『1つのカメラなのに、複数のピント位置にあった画像が同時に取得できる...』
なんとも不思議ですが、実際にその様子を見ると思わず「おぉー!」と声に出てしまいました。普段顕微鏡を利用して様々なシステム開発をしている身としては、本当に色々な可能性を感じさせてくれます。
実際にはTAGLENSの中の機構が高速に動くことでそれぞれの位置の映像をとらえているようですが、何かが上下に動いているような音もしませんし、上下移動による振動なども映像には現れないので駆動系を意識することも全くありません。
次に、観察対象を変更して50倍の対物レンズで、5μmの段差を撮影してみました。
段差(低)・段差(高)・境界 にピントを合わせ、デモソフトには合成像の表示機能も実装されていたので、その機能も利用してみました。
合成を有効にして表示した様子が下図になります。
それぞれのピント位置の映像とともに、リアルタイムで合成さされた映像でも観察できるのはとてもいいですね。
下図は基板を撮影してみた画像になります。段差ゲージのような単純な形状だけでなく、様々な形状でも利用できそうです。
ピント位置を高速に変化させて撮影・合成処理も可能
TAGLENSは内部でピント位置を高速に変えることができる機構をもっていますので、
デモソフトでも高速にピント位置の異なる画像を撮影する『Zスタック撮影』を行うことも可能です。
Zスタック撮影を実行すると数秒で100枚以上の画像の保存までを行うことができました。
Z撮影した画像を画像解析ソフトウェアWinROOFシリーズで合成し、全焦点画像を作成してみました。問題無くきれいな合成像が作成できています。
かなり素早く撮影が行えるので全焦点画像を高速に撮影するような装置開発などでも利用できそうですね。Z軸の機構を持たなくてよいというのはシステムアップする際には大きなメリットになりそうだと感じます。
TAGLENSを利用したシステム開発もご相談ください
今回は、ミツトヨ様よりお借りしたTAGLENSの一部機能を紹介してみましたがいかがでしたでしょうか?
取り上げた機能だけでも可能性を感じられる製品ですが他にも3Dデータの撮影などできるようなので、社内でも引き続きTAGLENSの可能性を探ってみたいと思います!
TAGLENSはSDKを利用したソフトウェア開発が可能です。TAGLENSを利用した撮影システム・検査システムをご検討の際には、
是非、三谷商事ビジュアルシステム部までご相談ください!
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