ソフトウエア
深度合成 - 顕微鏡観察で大事なピントの問題
被写界深度の浅さから起こる"ピント"の問題
普段スマートフォンやデジタルカメラなどを使っているとあまり気にすることが無いですが、
顕微鏡観察では常に"ピント"の問題が付きまといます。
普段、顕微鏡などの観察に馴染みの無い方は「カメラで写せば絵はキレイに写るのでは?」と思ってしまうかも知れませんが、
今回はこの顕微鏡観察のよくある問題を解決する技術"深度合成"についての記事となります。
顕微鏡観察でピントの問題が起こるというのはどんなことなのかを少し説明したいと思います。
顕微鏡やマイクロスコープなどの機材でピントが合っている状態を簡単に言うと
『レンズ と 観察対象 までの距離が正しい状態』です。
この距離が正しく無いと、ボケてしまったり、そもそも何も視認できないといったことが起こります。学校の授業で顕微鏡のハンドルを回してピントを合わせた記憶がある方も多いのではないでしょうか。
この距離を自動で合わせるための、顕微鏡用のオートフォーカス機器などを販売しているメーカー様もございます。
実は、深度合成が必要となるのはこの距離を正しく合わせた後になります。
正しい距離に置かれてピントが合っているはずなのにピントが問題...どういうことでしょうか?
それはこのような場合です。
この画像は10円玉硬貨の一部(屋根の鳥の部分)を顕微鏡で観察した画像です。
左の画像は10円玉フラットな面にピントが合っており、右の画像は鳥の部分の表面にピントが合っています。
なぜ、こんなことが起こってしまうのかというと顕微鏡観察で利用するような高倍率のレンズはピントの合う範囲(被写界深度)が非常に狭いからになります。
一般的に顕微鏡のレンズ倍率が高倍率になるほど被写界深度は狭くなります。小さいものが見たいので顕微鏡の倍率を上げていくと...
その結果、観察対象の凹凸の高さよりも被写界深度が狭くなり全体にピントが合った状態で観察ができなくなり、
下に合わせれば上がボケてしまい、上に合わせれば下がボケてしまう、、、
「本当は1枚の画像で綺麗にピントが合った絵がほしいのに。泣」
こんな状態では観察やそのあとの画像解析にも影響が出てしまいますよね。この悩みを解決する技術が"深度合成"です。
※ピントや被写界深度について興味がある方は、顕微鏡メーカー様などのウェブサイトを見ていただくと更に詳しく説明されております
深度合成を行った画像の例
深度合成により作られた画像は全焦点画像とも呼ばれます。(全体にピントが合っている画像という意味ですね)
観察対象のそれぞれの位置(高さ)にピントが合った画像を複数ご用意いただき、それらの画像からピントの度合いを数値化し、1枚の合成画像を生成します。
もちろん、深度合成処理は画像ファイルからだけでなく、カメラの映像へ直接合成処理を行うことも可能です。
下の画像は画像解析ソフトウェアWinROOFシリーズで合成処理を行った例になります。
【10円硬貨(一部拡大)】
【昆虫】
このように対象によっては撮影枚数が多くなることもありますが、合成処理は可能です。
画像解析ソフトウェアWinROOFシリーズでは事前に撮影された各ピント状態の画像ファイルを合成する以外にも、
顕微鏡の上下移動に合わせてピント状態が変わるカメラ映像から直接合成することも可能です。
(顕微鏡のハンドルをくるっと回して合成するので、くるっと合成と命名しております。笑)
深度合成を実際に試されたい方向けに、WinROOFシリーズの無料体験版(デモ版)も用意しています。
気になる方は下のリンクからダウンロードしてみてくださいね。
(深度合成機能はソフトウェア内ではフォーカス合成と明記されてます!)
デモ版をダウンロードするにはこちらをクリック!