ソフトウエア
HDR(ハイダイナミックレンジ)でハレーションを除去して観察に適した画像を作る
スマートフォンのカメラ機能などで目にするHDRとは
スマートフォンのカメラアプリなどで、HDRという文字を見たことがある方は多いのではないでしょうか?
このHDRは"High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)"のことで、通常の撮影よりも
明るい部分と暗い部分が見やすいような1枚の画像を作る処理を示しています。
言葉だけだと伝わりにくいかも知れんませんが、例えば『逆光で撮影する場合や、光の少ない暗所での撮影でも人の目に近い画像になるように
処理をする』そんな風に考えていただくと、イメージしやすいと思います。
このHDRは顕微鏡やマイクロスコープでの観察でも非常に有効な機能です。HDRが解決する問題の1つ、それが"ハレーション"です。
顕微鏡観察で問題になるハレーション
顕微鏡観察でハレーションと呼ばれる現象は、
顕微鏡やマイクロスコープで金属などを観察する場合に、金属表面の一部分が白くぼけてしまうような"白とび"が
発生することを表します。ハレーションを起こしてしまっている状態では、画像解析を行う際に悪影響となってしまいます。
ハレーションが起こらないようにするにはカメラのシャッタースピードを遅くしたり照明を暗くする必要がありますが、画像全体が暗くなってしまうと、
ハレーションを起こしていた以外の部分は非常に暗くなってしまう問題もあります。
この例は、背景まで含めてちょうどよい明るさにしようとするとネジの表面が明るくなりすぎてしまい、背景に合わせて暗くすると逆にネジの表面が暗くなりつぶれてしまう
という状態を示しています。
「明るすぎる」「暗すぎる」「ちょうどいい条件が見つからない」
こういった状況は顕微鏡やデジタルマイクロスコープなどで観察をしていると良くある場面かと思います。
次に、同じネジの画像を対象に画像解析ソフトウェアWinROOFシリーズを利用して、HDR処理を実行してみたいと思います。
HDR処理とWinROOFでの実行例
HDR処理は大まかに説明すると、
『様々な明るさで写した対象のデータから、最適な明るさ(白とびや黒つぶれしていない)の部分を選択し、1つの画像へ合成する処理』
になります。
スマートフォンやデジタルマイクロスコープなどハードウェアに組み込まれたHDR撮影処理では、
実際にカメラなどのハードウェアを制御し、シャッタースピードなどのパラメータを切り替えながら何度も対象を撮影することでHDR撮影を行いますが、
HDR処理はソフトウェアだけでも行うことができます。
画像解析ソフトウェアWinROOFシリーズでは、次の2つの方法でHDR処理を行うことができます。
①接続されたカメラのライブ映像に対するHDR処理
②事前に撮影された画像ファイルに対するHDR処理
接続されたカメラのライブ像に対して行う場合は普段通り観察していただくのとほとんど変わらずHDR画像を撮影することができます。
画像ファイルに対して行う場合は、事前に同サンプルをカメラパラメータを変えながら撮影した画像(暗い画像や明るい画像)をご用意いただくと、
HDR処理し、合成することで最適な画像を生成することができます。
実際にWinROOFシリーズで処理した例が下の画像になります。
様々なネジや背景の色情報が過度な白とびや黒つぶれなく確認できると思います。
例:HDR処理を行った画像
顕微鏡やマイクロスコープでの観察でハレーションなどにお困りの方は、画像解析ソフトウェアWinROOFシリーズのHDR処理がお役に立ちます。
HDR処理を実際に試されたい方向けに、WinROOFシリーズの無料体験版(デモ版)を用意していますので、気になる方は下のリンクからダウンロードしてみてください。
デモ版をダウンロードするにはこちらをクリック!